沄沄(うんうん)とは

沄沄

【読み】うん – うん

【意味】

1.水がめぐり流れるさま。うづまき流れるさま。
〔杜甫、次空靈岸詩〕沄沄逆素浪、落落展清眺。
〔陳子昂、入東陽峽與李明府船前後不相及詩〕奔濤上漫漫、積水下沄沄。

2.沸き流れるさま。
〔楚辭、王逸、九思、哀歳〕窺見兮溪澗、流水兮沄沄。
〔注〕沄沄、沸流貌。
〔孛朮魯翀、先聖廟碑銘〕恆山嶙嶙、滹水沄沄。

3.ひろびろとしたさま。
〔李華、潤州丹陽縣復練塘頌〕望沄沄兮視冥冥、鳥閒魚樂葭菼生。
〔柳宗元、懲咎賦〕凌洞庭之洋洋兮、泝湘流之沄沄。

4.聲音のひろく遠くゆき渡るさま。
〔元結、大唐中興頌〕能令大君、聲容沄沄。
〔宋史、樂志九、禘祫樂章〕聲容沄沄、被于八荒。

【参照】『大漢和辞典』大修館書店 諸橋轍次・著

柔婉(じゅうえん)婉柔(えんじゅう)

柔婉

【読み】じゅう-えん

【意味】すなおでやさしい。

『大漢和辞典』の表記の「柔婉」PDF

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【追記】

婉柔〔読み〕えん-じゅう

『下谷叢話』(岩波文庫版)に「婉柔」という熟語が使われている。

複数の辞典で調べたが、残念ながら見当たらない。

勿論、出版社が確認しているであろうし、文庫版ではルビが振られているので解説者が検証しているとは思う。

しかし、「柔婉」と書くべきところを誤ったのではないか。どちらにしても、意味は同じであろうと思う。

【出典】『下谷叢話』 永井荷風・著 岩波文庫 2000年9月14日発行 71頁 10行目

「詩モマタ豪肆ごうしソノ為人ノごとシ。シカモ時トシテ児女婉柔えんじゅうノ語ヲナス。コレマタ奇ナリ。」

 

垠堮/垠鍔/垠鄂(ぎんがく)とは

垠堮/垠鍔/垠鄂

【読み】ぎん-がく

【意味】かぎり。邊際。極限。垠鍔。垠鄂。垠際。

【文例】「縹渺ひょうびょうとして前後垠鄂ぜんごぎんがく有る無し」

〔淮南子、俶眞訓〕未有形埒垠鄂。
〔杜甫、有事于南郊賦〕溟涬爲之垠鄂。

〔張衡、西京賦〕前後無有垠鍔。
〔注〕善曰、許愼曰、垠鍔、端崖也、銑曰、垠鍔、際畔。
〔王騰辨、蜀都賦〕羊腸繞其垠鍔、鳥道駕於至虚。

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邊際

【読み】へん-さい
【意味】はて。かぎり。ほとり。きし。際限。邊涯。

〔徐陵、東陽雙林寺傅大士碑〕色艶沉檀、香踰詹蔔、我有邊際、隨機延促。
〔孟浩然。洛中送奚三還揚州詩〕水國無邊際、舟行共使風。

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僧窓/僧窗(そうそう)とは

僧窓/僧窗/僧窻/僧牕

【読み】そう-そう

【意味】寺のまど。「僧牕」とも書く。

【参照】『大漢和辞典』

僧窗(ソウサウ)
寺のまど。又。僧牕にも作る。
〔張耒、夜聞風雨有感詩〕何當粗息飄萍恨、卻誦僧窗聽雨詩。
〔陸游、長歌行〕成都古寺臥秋晩、落日偏傍僧牕明。

『大漢和辞典』の表記の「僧窗」PDF

 

中鎭/中鎮(ちゅうちん)とは

中鎭/中鎮

【読み】ちゅう-ちん

【意味】僧職。古、寺院の役僧の鎭の第二等のもの。

〔類聚三代格、三〕大・中・少鎭、撿挍、目代等之類。

【参照】『大漢和辞典』 大修館書店

縦書きで見る『大漢和辞典』表記の「中鎭」PDF

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〇「鎮」は、寺務を統括する僧侶の役職という意味があり、これは奈良・平安初期に見られた役職で、三綱(さんごう)のさらに上位に位置するものでした。
大鎮・中鎮・小鎮の別があった。

〇鎭/鎮(ちん)は、平安時代の尼寺の僧職の名称。大別当おおべっとうに同じ。

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おお‐べっとう【大別当】
〘 名詞 〙

① 院の別当の一つ。院庁(いんのちょう)の別当数名のうち、本官が大臣であるものを呼ぶ。鎌倉時代以降の称。執事別当。

② 鎌倉鶴岡八幡宮などの、社僧の役職名。

【参照】『日本国語大辞典』 小学館