開(ぼぼ/へき)


【部首】門 门 (もん・もんがまえ・かどがまえ)
【画数】12画
【音読み】かい

【隠語読み】ぼぼ、へき
【訓読み】あ(く)、あ(ける)、ひら(く)、ひら(ける)
【表外読み】はだ(かる)、はだ(ける)
【意味】
1.ひらく。ひらける。あく。あける。
2.ひらく。きりひらく。
3.ひらく。ひろがる。ひろげる。
4.ひらける。あけはなす。
5.はじめる。はじまる。
6.はなれる。わかれる。
7.〔日本〕ひらき。へだたり。違い。間隔。
8.〔日本〕ひらき。会合などを終わりにする。
9.〔日本〕ひらける。発展する。
10.〔日本・隠語〕ぼぼ。へき。女陰(じょいん)のこと

 

【解説】

隠語の「ぼぼ」「へき」について。

女陰(じょいん)のこと。

「ぼぼ」は主に外観を指す。
陰門(いんもん)、玉門(ぎょくもん)は女性生殖器の外陰部で、「ぼぼ」も、こちらの意味が強い。
「ぼぼ」は「おまんこ」と同様、女性器の名称としてだけでなく性行為を表す場合もある。

江戸時代に喜多川歌麿の浮世絵に女性器を表す古語として登場している。
九州では現在も方言として使用されている。

プロレスでジャイアント馬場が全盛期の頃、「ボボ・ブラジル」という黒人プロレスーが居り、

アナウンサーが叫ぶ度に、九州地方ではテレビの前で笑い転げる男性が多かったのは有名な挿話。

文豪・開高健は若い頃、一癖も二癖もある文壇の先輩諸氏に呼び出された。

挨拶代りに「お前の名前には卑猥な意味があるが知っておるか?」と不意を突かれた。

戦争直後の昭和の時代、バンカラな先輩による意地悪な口頭試問である。

実にワクワクする面接試験である。ここで諸先輩を唸らすと、プロ小説家と認めてもらえるのだ。

 

【女陰の異名・俗称・隠語の一例】

ほと(古い日本語で女性器の外陰部を意味する単語。御陰、陰所、女陰の字を当てる)。
ぼぼ(開)。へき(開/闢)。つび(玉門/) 。おまんこ。まんこ(万古、満戸、万戸)。まんこう(満紅)。
われめ(割れ目)。女性自身。
おめこ。おそそ。
貝/開(かい)。花唇/花芯(かしん)。観音さま。

〔クリトリスのこと〕 さね(佐根、佐弥、小根、核、実)。

〔名器と呼ばれる名称〕
みみず千匹(ひだの多い膣で、みみずが千匹動いているような感触がある)。
数の子天井(膣壁が数の子のように細かくイボイボになっている女性器)。
タコつぼ(締りがスゴイ女性器のこと)。
巾着(きんちゃく。膣の入り口が狭くて、締め付けられるような女性器)。
俵締め(たわらじめ。男性器の根元と先を強く締め付ける方法)。
三段締め(入口と中間と奥の三か所で括約筋が働き男根の根元と中央と亀頭をしめられるという伝説の名器)。

〔具合のいい女陰〕 上開(じょうかい)。上品開(じょうぼんかい)。名開(めいかい)。

〔具合の悪い女陰〕 下開(げかい)。下品開(げぼんかい)。難開。ぬか並。

〔入口が狭い女陰〕 閂開(かんぬきぼぼ)。

 

〔性器のつきぐあいによる名称〕 上がり。上つき。上ぞり(上反)。下開。さがり開。下ぞり(下反)。上開。どて高。前つき。

〔愛液の多いもの〕 沖の石、潮吹き、潮吹き貝

〔男女両根の陰部・両性具有〕 根転(こんてん)。半月(はにわり)。二形(ふたなり)。

〔女陰の格付を表した言葉遊び〕 一高二まん三蛤四たこ五雷六洗濯七巾着八ひろ九下十くさい。

〔外来語の女陰の名称〕
ヴァギナ/バギナ(vagina)。カント(cunt)。プッシー(pussy小猫)。ジェニー(jenny<『チャタレー夫人の恋人』)

開中(かいちゅう)

開中
【読み】かいちゅう
【意味】〔隠語〕「開」は「ぼぼ」と読み、女陰のこと。よって開中は膣の中のこと。

【関連熟語】

上開(じょうかい)、上品開(じょうぼんかい)名開(めいかい)。

下開(げかい)、下品開(げぼんかい)。

閂開(かんぬきぼぼ)。

上開【読み】じょうかい/上品開【読み】じょうぼんかい

上開【読み】じょうかい

上品開【読み】じょうぼんかい

【意味】〔隠語〕「開」は「ぼぼ」と読み、女陰のこと。

江戸時代、「上開」「上品開」は、女性器の一級品のことを指した。
具体的には、締まりの良い膣のことで、「巾着ぼぼ」や「蛸つび」が有名。

【解説】

江戸の春本・春画にはしばしば「上開」が登場し、「巾着ぼぼ」と「蛸つび」が有名である。
「ぼぼ」、「つび」はともに女性器のことで、当時の人々の話し言葉だった。
日常的に使われていた江戸の隠語だ。

「巾着ぼぼ」は、入口が巾着のようにキュッと締まる上開。
「蛸つび」は、蛸の吸盤のように吸いついてくる上開。

文例:『艶本常陸帯』(喜多川歌麿、寛政十二年)に次のような表現がある。

女と情交しながら男が、「くわえて引くようだ。これがほんの蛸とやらか」と感激する。

銓衡(せんこう)

銓衡

【読み】せんこう

【意味】

多くの中から適したものを選び出すこと=選考。

そろえたものの能力や性格などをよく調べて、その中から選ぶこと。

人物や能力などをはかりくらべ、その中から適した者を選ぶこと。

 

【誤用から慣用化】言偏の「詮」を使う「詮衡」は誤用から慣用化したもの。「銓衡」が正しい。

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【音読み】せん

【訓読み】えら(ぶ)、はかり、はか(る)

【意味】

1.はかる。物の重さをはかる。
2.はかる。えらぶ。人物や能力などをはかりくらべる。
3.はかり。重さをはかる道具。

【音読み】こう

【訓読み】くびき、はかり、はか(る)

【意味】

1.はかり。はかり竿。はかりのさお。
2.はかる。重さをはかる。
3.たいらか。釣り合いがとれていること。
4.つのぎ。牛の角にしばりつけた横木。
5.よこぎ。くびき。馬車の横木。
6.手すり。
7.北斗七星の第五星。
8.横。

太鼓(くる)を叩く

藤沢周平の時代小説『神谷玄次郎捕物控』に

「お前は太鼓(くる)を叩きすぎたようだな。それでかえって自分が怪しまれてしまったのは皮肉な話だ」

と言う台詞せりふがある。

この中の「太鼓(くる)を叩く」の意味が解らず、図書館で調べた。

【結論】

「他人のいうことに調子を合わせすぎたようだな」の意味。

慣用句「太鼓(たいこ)を叩く」の意味である。

では、なぜ、玄次郎は、太鼓を「たいこ」と言わず、わざわざ「くる」と言ったのか。

これが疑問である。

調べた結果、話の中に『うんすんかるた』なるものが登場する。

江戸時代に渡来した西洋カルタを日本風にアレンジしたものだ。

この「うんすんかるた」の中の太鼓を模した札を「クル」と呼ぶ。

これに引っ掛けて洒落しゃれたのだ。

なるほどね~

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【語彙説明】

太鼓を叩く/太鼓を打つ/太鼓を持つ

〔読み〕たいこをたたく/たいこをうつ/たいこをもつ

〔意味〕他人のいうことに調子を合わせる。相手の取り持ちをしてきげんをとる。迎合する。また、座興をとりもつ。

くる/ぐる

〔意味〕ウンスンカルタ七十五枚の中、三つ巴を描いた札。太鼓の模様を表して九枚一組となる。

日本国語大辞典 第二版 第四巻 小学館

 

うんすんかるた

上述の辞典の説明では、九枚一組と説明しているが、九枚は数札のことで、

残り六枚の絵札にも「三つ巴紋の太鼓」は描かれている。

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【出典】

藤沢周平『神谷玄次郎捕物控』(かみやげんじろうとりものひかえ)

「霧の果て」の中の「春の闇」の最後の台詞

うんすんかるた(宇牟須牟賀留多)

うんすんかるた(宇牟須牟賀留多)

江戸初期、南蛮船で日本に渡来した西洋カルタに日本風の工夫を加えたもの。

「うんすん」の名称の由来は、元来ポルトガル語「um sum」で、最高最上の意という説と、
日本で加えた絵札の「スン(唐人)」「ウン(福の神)」から採ったという説がある。

渡来当初は「天正てんしょうかるた」と呼び、札数は48枚だった。

その後、明和めいわ(1764~1772年)の頃、大人数で遊べる様に、と、札を75枚に増やし日本風にして、「うんすんかるた」と呼んで、幕府の公認するところとなった。

「天正かるた」の48枚に、1スート(種類)と各3ランクを加えて、札の枚数を75枚にした。

【スート(種類)】

1.パオ・ハウまたは花(棍棒)
2.イスまたは剣(刀剣)
3.コツまたはコップ(聖杯)
4.オウル・オウロまたはオリ(金貨)
5.クルまたはグル(三つ巴紋の太鼓)<追加>

の5つとなった。

【ランク】

各スートに数札の1~9ランクまでは同じ、絵札が

10枚目は騎士(ウマ)、
11枚目は武者(キリ)<絵柄を変更>
12枚目は女従者(ソウタ)<絵柄を変更>
13枚目は唐人(スン)<追加>
14枚目は福の神(ウン)<追加>
15枚目は竜(ロバイ)<追加>

と、6ランクに増え、計15ランクとなった。

 

註:なお、「天正かるた」では、各スートとも1ランクには竜(ドラゴン)が描かれていたが、「うんすんかるた」になって、竜(ドラゴン)が独立し、1ランクは数字のみとなった。

 

うんすんかるた全75枚

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安永あんえい(1772~1781年)の頃、流行したが、賭博とばくに用いられたため、度々たびたび禁止された。

昭和の初め頃では、消滅寸前だったが、唯一熊本県人吉市ひとよししに伝統的な遊戯として継承されていた。
昭和40年(1965年)に遊戯法が熊本県から重要無形民俗文化財に指定された。
人吉市では「備前かるた」とも呼び、今でも大会が開催されている。

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《天正かるたの説明》

貞享じょうきょう3年(1686年)刊の『雍州府志ようしゅうふし』(黒川道祐)には、オランダ人がもてあそんだものを真似て遊び道具にしたとある。

これを「天正てんしょうかるた」と呼び、札数は4スート(種類)各12ランクで合計48枚。(4×12=48枚)

【スート(種類)】

1.パオ・ハウまたは花(棍棒)
2.イスまたは剣(刀剣)
3.コツまたはコップ(聖杯)
4.オウル・オウロまたはオリ(金貨)

の4つ。

【ランク】

各スートに数札1~9ランクまであり、それぞれの紋形が記されている。

10枚目は騎士(ウマ)、
11枚目は国王(キリ)、
12枚目は女王(ソウタ)

が描かれている絵札3ランク、計12ランクからなる。

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【補足】

天正てんしょうかるた」をトランプと比較する。

「スート」は、トランプで言えば、ハート、スペード、ダイヤ、クローバーに相当する。

「ランク」は、トランプで言えば、数札が1~10。

絵札が、ジャック(従者、家来)、クイーン(女王)、キング(王様)に相当する。

「天正かるた」は札が48枚、トランプは(52枚にジョーカー2枚を加えて)54枚。

独擅場(どくせんじょう)

独擅場

【読み】どくせんじょう

【間違いから慣用化】

「どくだんじょう」と読む間違いが、慣用読みとなり、「独場」と書くように、慣用化した。

〔補足〕「擅」を「壇」と誤り、「ひとり舞台」の意から「独壇場 (どくだんじょう) 」となった。

【意味】その人だけが思うままに振る舞うことができる場所・場面。ひとり舞台。

【例文】

「それが終ると、いよいよ、庄屋、長百姓、町方等に、『よくもの言ふ者』をつれて出頭するようふれを出すのである。ここからがいよいよ恩田木工の独擅場なので、全文を引用してみよう。」<ベンダサン『日本人とユダヤ人』>

「おい、こんな安酒で、ごまかそうたって、当てが違うぜ」 下村孫九郎は、膝を崩して、せせら笑った。これからが彼の独擅場であった。」<松本清張『かげろう絵図(上)』>

 

〇「独壇場」の意味説明

集団の中で一人だけ群を抜いて活躍しているさま、その人だけが思うままに振る舞い他の追随を許さないさま、を意味する表現。いわゆる一人舞台の状態。

原則的に、「独壇場」と表現できるのは「活躍しているのが唯一人」の状況に限られる。
つまり、抜群に活躍している人が何人かいて、しのぎを削りつつ他を圧倒している、というような状況を「彼らの独壇場」とは言わない。

諸刃の剣(もろはのつるぎ)

諸刃の剣

【読み】もろは の つるぎ

非常に読み間違いの多い言葉。

今回の場合、「剣」を「やいば」「けん」と読みません。

従って、「もろはのやいば」「もろはのけん」とは、誤った読み方となります。

【意味】相手にも打撃を与えるが、こちらもそれと同じくらいの打撃を受けるおそれがあることのたとえ。
また、大きな効果や良い結果をもたらす可能性をもつ反面、多大な危険性をも併せもつことのたとえ。

【類義語】

両刃の剣(読み)りょうば の つるぎ

これを「もろは」と読むのも間違い。

【他の「つるぎ」と読む例】

「剣の舞」(つるぎのまい)・・・旧ソ連の作曲家・アラム・ハチャトゥリアンが作曲したバレエ楽曲。
「草薙の剣」(くさなぎのつるぎ)・・・三種の神器のひとつ・天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)の別称。

御多分に漏れず/御多分に洩れず

御多分に漏れず/御多分に洩れず

【読み】ごたぶん に もれず

「御多聞」と書く間違いが非常に多い。

【意味】世間と同じように。例外ではなく。

【例文】

「御多分に洩れずうちの会社も人手が足りない」

「何れ折の内の帰りは、小川か此店(ここ)がお定まりの建場だが、鳥渡(ちょっと)一口気をつけの後は、

内店の拾匁とするとも何様(どう)とも、何(いづ)れ御多分に洩れやすめへ」<人情本・春色梅美婦禰 五>