革故鼎新(かくこていしん)とは

革故鼎新

【読み】かくこ-ていしん

【訓読】

ふるきをあらたあたらしきをる」
「故きを革め新しきにあらたむ」

【意味】

革故・・・古い制度・習慣・価値観を改める。
鼎新・・・新しい制度・仕組み・価値観を打ち立てる。
単なる破壊ではなく、単なる創造でもなく、「こわして、作り直す」 というもの。
現代的な解釈では、イノベーション。

旧悪きゅうあくを除き革新する。
「革去ㇾ故也。鼎取ㇾ新也」(かくふるきを去るなり、かなえは新しきを取るなり)
革卦かくかは旧悪を除去することで、鼎卦ていかは新しいものを取り入れることである。
「鼎」は、生の物を煮て新しい食物にするから「取ㇾ新」という。
(出典『新撰墨場必携』)

【詳細】

易経えききょうの「かく」はとしては 革命・刷新さっしん・脱皮 を象徴しょうちょうする。

てい」は 調理器具のかなえで、「新しい秩序ちつじょ煮固にかためる」という象徴を持つ。

「革故鼎新」は、易経本体の卦辞かじ爻辞こうじではなく、総まとめ的な付録に位置する『雑卦伝ざっかでん』に由来する。

『雑卦伝』は、六十四をの中の二つの卦を取り上げたもので、その中に

第四十九卦「革卦かくか」・・・革命、刷新、脱皮。

第五十卦「鼎卦ていか」・・・新しい秩序を固める。制度を整える。

があり、この二つの卦の関係を一言で表したのが「革故鼎新」。

【出典】

『新撰墨場必携』中央公論社  〔「易経」雑卦伝〕 p.680
『全釈漢文大系』第10巻「易経 下」 p.127-128、p.140

【類義語】

「革旧鼎新(かくきゅうていしん)」
「鼎新革故(ていしんかくこ)」

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【語彙説明】

〇雑卦伝(ざっかでん)・・・易経の「十翼」の一つ。六十四卦の中の二つの卦を取り上げて、その対照的な意味合いを説明している。雑卦伝は「十翼」の中では最も日常に近いものであり、日常的な占いの判断をするにあたっては最も適切であるともいわれる。

十翼(じゅうよく)・・・「易経」の解釈書。経の本文を補翼する十編の書の意で、彖伝たんでん(上・下)、象伝しょうでん(上・下)、繋辞伝けいじでん(上・下)、文言伝ぶんげんでん説卦伝せっかでん序卦伝じょかでん、雑卦伝の十編からなる。孔子の著とされてきたが、成立は戦国時代から秦・漢代のころ。

九鼎大呂(きゅうていたいりょ)とは

九鼎大呂

【読み】きゅうてい‐たいりょ/きゅうてい‐たいろ

【意味】

「九鼎」は夏の禹王が九州から献上させた黄金で造った一基の鼎。

「大呂」は周王朝の太廟たいびょう(祖先を祀る大きな宗廟)に備えられていた大鐘。

どちらも非常に価値のある珍しい物。転じて、重要な地位や名声などのたとえ。

【出典】『史記』「平原君伝」

【眉雪の補記】

「九鼎」と「大呂」の本物は、現存していない。

始皇帝が周から奪おうとしたが、既に喪失していた。

「九鼎」の復元品が現在、上海博物館に在るだけだ。

「九鼎」については、前回、「鼎の軽重を問う」に書いた。

次に「大呂」とは、どんな物か。

文献では、大鐘となっているが、「大呂」の復元品は無い。

チャイナでは音楽のことを「律呂りつりょ」と呼ぶ。律(陽声)と、呂(陰声)の音からの成語。

従って、「大呂」は、音色を奏でる目的の大鐘のこととなる。

日本のお寺に在る吊り鐘を想像すれば良いのではないか、と思う。

「九鼎大呂」の大呂

大呂の「呂」は律呂の「呂」のこと