大沢順軒(おおさわじゅんけん)

大沢順軒/大澤順軒

〔読み〕おおさわ – じゅんけん

漢学者

〔生没〕生没年未詳。天保(1830~1844)頃の人。

〔名号〕名:定永。字:子世。通称:秀之助。号:順軒。

〔経歴〕江戸根岸庚申塚に住す。

〔著作〕『台桜雑詠』〈天保十一刊〉

〔参考〕広益諸家人名録(天保十三)

【参照】『国書人名辞典』岩波書店

「泊秦淮」作・杜牧

題:泊秦淮  作:杜牧

煙籠寒水月籠沙

夜泊秦淮近酒家

商女不知亡國恨

隔江猶唱後庭花

 

題:秦淮に泊す

煙は寒水を籠め 月は沙を籠む

夜 秦淮に泊まりて酒家に近し

商女は知らず 亡国の恨み

江を隔てて猶お唱う 後庭花

*———-*———-*

PDFで詳しく。「秦淮に泊す」 作:杜牧

蓮塘(れんとう)とは

蓮塘

【読み】れん – とう

【意味】

一.蓮の生えて居る池。はすいけ。蓮池(れんち)。

〔方干、送鏡空上人遊江南詩〕細雨蓮塘晩、疎蝉橘岸秋。

二.川の名。廣東省陽江縣北界の白馬山に源を發し、漠陽江と合し海に入る。

〔讀史方輿紀要、廣東、肇慶府、陽江縣〕蓮塘河、縣東六十里、源出恩平界白馬山、一名琨水、曲折流經縣東北百里那龍村曰那龍水、過蓮塘驛曰蓮塘河、云云、南流七十里、至縣南十五里尖山渡、合於漠陽江。

三.字號。イ.清、馮文蔚の號。ロ.清、楊振崑の號。ハ.清、汪際會の號。

【参照】『大漢和辞典』大修館書店

『現代暇名遣批判と今後の國語教育』太田行藏

『現代暇名遣批判と今後の國語教育』は、国語教師を目指す方は、是非読んで欲しい一冊だ。

著者は、太田行藏氏。

→ 表紙 目次 本文 補足1 補足2

昭和21年(1946年)に第11回国語審議会の答申により「現代かなづかい」が告示される。

同じくして「当用漢字」の漢字制限及びローマ字教育といった一連の国語改革が行われた。

これらの国語改革と称する変更が、如何に愚かであったか。

多くの国語学者が反対し、論破しているにも拘わらず、時の政府は、施行した。

その背景にあったのは、 新聞社の後押しがあったからだ。

更に、日本人の識字率の高さを知らなかったGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)も口添えした。

2023年、米国のラーム・エマニュエル駐日大使が、「LGBTQなど性的少数者の人権保障を前提に日本も法整備すべきだ」と日本政府に強く抗議し、岸田前首相は、あっという間に進めた。これと一緒。愚行だ。

新聞社は、世界で最も手間のかかる凸版印刷(植字)に頭を悩めていた。

漢字制限をして貰えば、植字作業は一気に半分以下に減る。

これもまた愚行。20年後にコンピュータ化され、植字なんて作業は無くなった。今も昔も、新聞社は・・・。

渡りに船だったのだ。

日本の文化なんて関係ない。

楼鐙/樓鐙(ろうとう)とは

楼鐙/樓鐙

【読み】ろう – とう

【意味】樓(楼)中のともし火。又、樓(楼)上で火をともす。

〔風俗通、怪神〕未冥、樓鐙、階下腹有火。

【参照】『大漢和辞典』大修館書店

【補足】「樓中/楼中」(ろうちゅう)とは、「たかどののなか」のこと。

高殿(たかどの)とは、「高く造られた建物。とくに御殿。高楼」

********************

【追記】

『下谷叢話』に「楼灯ろうとう」という熟語が使われている。原文では「樓燈」。

複数の辞典で調べても、こんな熟語は見当たらない。

著者が樓鐙ろうとう」と書くべきところを「樓燈」と書いてしまったのであろう。

「鐙」の金篇を火篇と書いて「燈」としたのではないか。

「灯」と「楼」の前後入れ替えて「灯楼とうろう」の間違い、とも考えられるが、前者の方がしぜんである。

灯籠・・・灯楼とも書く。戸外用の灯火器。風から守るため,火炎部を囲う構造(火袋)をもつ。

「鐙」は、通常、馬の「あぶみ」として知られているが、「ともし火」の意味も持つ。

【出典】『下谷叢話』 永井荷風・著 岩波文庫 2000年9月14日発行 122頁 2行目

「金田一君、もうたくさんだ!」『日本語を愛する人に』

「金田一君」とは、探偵ではありませんよ(笑)

当時、国語審議会の座長だった金田一京助博士のこと。

太田行蔵氏が、(金田一博士に敬意を表して)新字と新假名遣いで、諄々と語りかけるが如く「新假名遣い」「新字体」「漢字制限」など拙速である点を指摘している。

その著書『日本語を愛する人に』、これに副題を付すと ・・・・・ 「もうたくさんだ!」となった(笑)

現在絶版であり、全国でも国会図書館を含めて2ケ所にしか蔵書されていなかった。

こんな良書が文庫本に収められていないのは、残念至極!この度、全文掲載した。

 

『日本語を愛する人に』 全文PDFにて掲載。

→ 全文

この書を出す前に、太田氏は、

『現代假名遣批判と今後の國語敎育』も上梓している。全文PDFにて掲載。

→ 表紙 目次  本文  補足1 補足2

国語教師を目指す方は、必須の書ではないかと思う。

50ページ弱、小冊子程度の内容です。

玄宮(げんきゅう)とは

玄宮

【読み】げん – きゅう

1.天上北方の宮。又、北側にある宮殿。

〔荘子、大宗師〕夫道、云云、顓頊得之、處玄宮。
〔釋文〕玄宮、李云、顓頊、帝高陽氏、玄宮、北方宮也。
〔墨子、非攻下〕高陽乃命玄宮。
〔揚雄、羽獵賦〕麗哉紳聖、處於玄宮。
〔注〕善曰、玄、北方也、禮記月令曰、季冬、天子居玄堂右个、蔡邕月令章句曰、玄、黒也、其堂尚玄。

2.奥ふかい宮。

〔班倢伃、自悼賦〕潛玄宮兮幽以清。

3.室星をいふ。

〔事物異名録、乾象、室星〕星經、室曰營室、石氏謂之玄宮、一曰清廟。

4.御大葬の時、御陵所の靈宮を斂葬し奉る寳穴。

【参照】『大漢和辞典』大修館書店 諸橋轍次・著

*———-*———-*

【追記:語彙説明】

〇室星(はついぼし)

二十八宿の一つ。室(しつ)の和名。ペガスス座のα(アルファ)・β(ベータ)星にあたる。
室宿(しっしゅく)と書き、「はついぼし」とも読む。

〇御大喪(ごたいそう)

「大喪の礼/大喪ノ禮(たいそうのれい)」は、日本の天皇 、上皇の国葬であり、国事行為たる皇室儀礼で、日本国憲法下において「天皇(又は上皇)の葬儀」は、皇室典範第25条の規定に基づき国の儀式として執り行われる「大喪の礼」と、皇室の儀式として執り行われる「大喪儀」とに区別される。両者を合わせて「御大喪(ごたいそう)」ともいう。

〇御料所(ごりょうしょ)

天皇(皇室)及び幕府などのいわゆる「公儀」と称される公権力が直接支配した土地(直轄地)である。
料所(りょうしょ)・料(りょう)・御料(ごりょう)・料地(りょうち)・御料地(ごりょうち)等とも呼ばれる。家臣に与えられた所領(知行地)に対する概念でもある。

〇靈宮/霊宮(れいきゅう)

霊のお宮と書いてあって、祖先でもう亡くなっている人の霊魂を祀るお宮という意味。

〇斂葬(けんそう)

死者を墓穴などにおさめ葬ること。
「斂葬の儀」は一般的な葬儀でいう「本葬」にあたる。皇族の方が亡くなった際の葬儀を「斂葬の儀」と呼ぶ。

〇寶穴/宝穴(ほうけつ)

<不明>身分の高い方の「墓穴」を敬って「宝穴」と呼んだか?

著題(ちゃくだい)とは

著題

【読み】ちゃく ‐ だい

【意味】詩文等でよく題意にかなふこと。

〔本事詩、徴異〕状罌之聲、既已酷似、譏微吟者、亦復著題、皆大驚伏。

〔范成大、梅譜〕常時以爲著題。

【参照】『大漢和辞典』大修館書店