諸刃の剣(もろはのつるぎ)

諸刃の剣

【読み】もろは の つるぎ

非常に読み間違いの多い言葉。

今回の場合、「剣」を「やいば」「けん」と読みません。

従って、「もろはのやいば」「もろはのけん」とは、誤った読み方となります。

【意味】相手にも打撃を与えるが、こちらもそれと同じくらいの打撃を受けるおそれがあることのたとえ。
また、大きな効果や良い結果をもたらす可能性をもつ反面、多大な危険性をも併せもつことのたとえ。

【類義語】

両刃の剣(読み)りょうば の つるぎ

これを「もろは」と読むのも間違い。

【他の「つるぎ」と読む例】

「剣の舞」(つるぎのまい)・・・旧ソ連の作曲家・アラム・ハチャトゥリアンが作曲したバレエ楽曲。
「草薙の剣」(くさなぎのつるぎ)・・・三種の神器のひとつ・天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)の別称。

御多分に漏れず/御多分に洩れず

御多分に漏れず/御多分に洩れず

【読み】ごたぶん に もれず

「御多聞」と書く間違いが非常に多い。

【意味】世間と同じように。例外ではなく。

【例文】

「御多分に洩れずうちの会社も人手が足りない」

「何れ折の内の帰りは、小川か此店(ここ)がお定まりの建場だが、鳥渡(ちょっと)一口気をつけの後は、

内店の拾匁とするとも何様(どう)とも、何(いづ)れ御多分に洩れやすめへ」<人情本・春色梅美婦禰 五>

名優りて質孱し/名勝りて質孱し

鴎外の漢詩の一片である。

【訓み下し文】一笑す 名優りて 質却って 孱きことを

【読み】いっしょうす めいまさりて しつかえって よわきことを

【訓み下し文】一笑す 名は優にして 質却つて 孱きことを

【読み】いっしょうす なはゆうにして しつかえって よわきことを

【訓み下し文】一笑す 名優 質却って 孱きことを

【読み】いっしょうす めいゆう しつかえって よわきことを

【眉雪の口語訳】(自分は)名誉を得たが、未だ中身が伴っていない。 一笑に付すべきだ。

【実際の意味】聞こえのいい学士号をもらったが、実際は、まだ浅学非才にすぎない。一笑に付すべきだと思う。

【語彙の読みと解釈】

実は、「名優」の読み方が、「めいゆう」と「めいまさりて」とに学者の見解が分かれている。

名優(めいゆう)の場合、「名優」とは名詞で「有名な俳優」のこと。

この「名優(めいゆう)」が、通説であった。(註1)

意味は、「聞こえがいい、または、エリート」と云うような比喩表現だろうと説明されている。

名優りて(めいまさりて)の場合、「名」は名詞で「優りて」は動詞。(註2)

小島憲之博士は、『ことばの重み-鴎外の謎を解く漢語-』の中で、「名(な)は優(ゆう)にして」と読む方がしぜんである。小説『舞姫』の中にも似た引用がある、と書かれている。

やはり、日本人としての肌合いからも、「名優(めいゆう)」はなかろう。

「名は優にして」または「名優りて」(めいまさりて)と読み下す方が極しぜんで解り易い、と感じる。

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【原文】一笑名優質却孱 依然古態聳吟肩

【訓み下し文】

一笑す 名(な)は優(いう)にして質却(しつかへ)つて孱(よわ)きことを、

依然(いぜん)たる古態(こたい)吟肩(ぎんけん)を聳(そび)やかす。

【出典】森鴎外『航西日記』の中の漢詩の一部抜粋

【参照】『ことばの重み-鴎外の謎を解く漢語-』 著・小島憲之 新潮選書 昭和59年(1984年)発行

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平成24年度 日本漢字能力検定試験1級(一)29問に 「名りて質孱し」と出題された。

恐らく「名優」論争に関わらない様、「優」を「勝」としたのではないか。

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【眉雪の追記】

〇「名優」論争に関係なく、この一行の大意は変わらない。

〇名優りて

名誉が実質に勝る=自分の実力より名誉が先行した、の意味。

〇鴎外が「一笑」した相手は自分自身であり、自分を戒めた意味。

現代で譬えると、弱冠十九歳の棋士・藤井聡太三冠(棋聖・王位・叡王)の謙虚な発言に散見される。「名優りて質孱し」の戒めと似た高い志を心中に秘めているに相違ない。

〇孱

〔音読み〕サン、セン
〔訓読み〕おと(る)、よわ(い)
〔意味〕1.よわい。小さくて弱々しい。2.おとる。おとっている。

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【註解】

註1.名優(めいゆう)と解釈した学者

神田孝夫教授(『若き鴎外と漢詩文』)

小堀桂一郎教授(『若き日の森鴎外』)

小田切進教授(『近代日本の日記』)

陳生保教授(『森鴎外の漢詩 上』)

 

註2.名優りて(めいまさりて)と解釈した学者

小島憲之のりゆき教授(『ことばの重みー鴎外の謎を解く漢語ー』)は、従来の解釈に異を唱え「名(な)は優(ゆう)にして」と新解釈を示した。

これに同調したのが神田孝夫教授。従来の主張を撤回し「一笑す 名(な)は優(ゆう)にして質却って孱(せん)なることを」とむことに改めたい、とした。

擦る『類語新辞典』

「パチンコで有り金をスってしまった」「競馬で大金をスった」「信用取引で財産をスった」
の様に、ギャンブルなどで一瞬のうちにお金を使い果たしてしまう。
お金を溝(どぶ)に捨てる様な行為。「失った」と違い本人の恥じらいがにじむ。

そんな意味の「する」とは、どんな漢字を用いるのか。

調べた結果、「擦る」が妥当だと結論した。<結論の記事はこちら>

その過程で調べた辞書ごとの内容を記事とした。

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『類語新辞典』(昭和56年発行) 「747取引」の欄では、「擦る」のみ1つを選んでいる。しかし、後の『類語国語辞典』(昭和60年発行)では、「擦る」「摩る」の2つを選んでいる。

「する」類語新辞典

 

擦る、摩る『類語国語辞典』

「パチンコで有り金をスってしまった」「競馬で大金をスった」「信用取引で財産をスった」
の様に、ギャンブルなどで一瞬のうちにお金を使い果たしてしまう。
お金をどぶに捨てる様な行為。「失った」と違い本人の恥じらいがにじむ。

そんな意味の「する」とは、どんな漢字を用いるのか。

調べた結果、「擦る」が妥当だと結論した。<結論の記事はこちら>

その過程で調べた辞書ごとの内容を記事とした。

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『類語国語辞典』(昭和60年発行) 746費用の欄
「擦る」「摩る」を選んでいる。
しかし、前の『類語新辞典』(昭和56年発行)では「擦る」のみ1つ。

 

擦る、摺る『日本国語大辞典』 

「パチンコで有り金をスってしまった」「競馬で大金をスった」「信用取引で財産をスった」
の様に、ギャンブルなどで一瞬のうちにお金を使い果たしてしまう。
お金をどぶに捨てる様な行為。「失った」と違い本人の恥じらいがにじむ。

そんな意味の「する」とは、どんな漢字を用いるのか。

調べた結果、「擦る」が妥当だと結論した。<結論の記事はこちら>

その過程で調べた辞書ごとの内容を記事とした。

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『日本国語大辞典』
文例で「擦る」「摺る」を示している。

 

擦る、摺る、磨る『新明解国語辞典』

「パチンコで有り金をスってしまった」「競馬で大金をスった」「信用取引で財産をスった」
の様に、ギャンブルなどで一瞬のうちにお金を使い果たしてしまう。
お金をどぶに捨てる様な行為。「失った」と違い本人の恥じらいがにじむ。

そんな意味の「する」とは、どんな漢字を用いるのか。

調べた結果、「擦る」が妥当だと結論した。<結論の記事はこちら>

その過程で調べた辞書ごとの内容を記事とした。

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『新明解国語辞典』は、
「擦る」を主とし「摺る」「磨る」を併記している。

「する」新明解

新明解国語辞典

 

擦る『古典基礎語辞典』

「パチンコで有り金をスってしまった」「競馬で大金をスった」「信用取引で財産をスった」
の様に、ギャンブルなどで一瞬のうちにお金を使い果たしてしまう。
お金をどぶに捨てる様な行為。「失った」と違い本人の恥じらいがにじむ。

そんな意味の「する」とは、どんな漢字を用いるのか。

調べた結果、「擦る」が妥当だと結論した。<結論の記事はこちら>

その過程で調べた辞書ごとの内容を記事とした。

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『古典基礎語辞典』
日葡辞典(日本語⇔ポルトガル語)に「擦り」と説明されていると載っている。

「する」古語辞典

 

擦る、摩る『類語大辞典』

「パチンコで有り金をスってしまった」「競馬で大金をスった」「信用取引で財産をスった」
の様に、ギャンブルなどで一瞬のうちにお金を使い果たしてしまう。
お金をどぶに捨てる様な行為。「失った」と違い本人の恥じらいがにじむ。

そんな意味の「する」とは、どんな漢字を用いるのか。

調べた結果、「擦る」が妥当だと結論した。<結論の記事はこちら>

その過程で調べた辞書ごとの内容を記事とした。

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『類語大辞典』(平成14年発行)は、
「擦る」を主とし「摩る」を併記している。

「する」類語辞典

「する」類語辞典

擦る『漢検 漢字辞典』

「パチンコで有り金をスってしまった」「競馬で大金をスった」「信用取引で財産をスった」
の様に、ギャンブルなどで一瞬のうちにお金を使い果たしてしまう。
お金をどぶに捨てる様な行為。「失った」と違い本人の恥じらいがにじむ。

そんな意味の「する」とは、どんな漢字を用いるのか。

調べた結果、「擦る」が妥当だと結論した。<結論の記事はこちら>

その過程で調べた辞書ごとの内容を記事とした。

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『漢検 漢字辞典』(平成13年発行)は、
「擦る」のみを選んでいる。

する(漢検辞典)

漢検辞典