檜扇/射干

読み:ひおうぎ

意味:細長いヒノキの薄板をとじ連ねて作った扇。

衣冠いかん、または直衣のうしの時、しゃくに代えて持つもので、近世では板の数は、

公卿くぎょうは二十五枚、殿上人てんじょうびとは二十三枚、女子は三十九枚。

男子のものは白木のままとするが、女子のものには幅の広い三重、五重などがあり、

美しく彩色し色糸を長くたらして装飾した。

衵扇(あこめおうぎ)とも言う。

 

檜扇、射干、衵扇

檜扇の画像

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【文中の語彙説明】

○衣冠(いかん) ・・・ 冠を被っていて、昼ならば束帯、夜ならば衣冠。元々、束帯が宮中での勤務服であったが、一日中着るには窮屈だったので、少し緩い衣冠が生まれた。このため、衣冠を「宿直(とのい)装束」、束帯を「昼(ひの)装束」とも呼んだ。

○直衣(のうし) ・・・ 直衣の外見は、衣冠とほぼ同じ。但し、衣冠は身分によって色や模様が決まっていたのに対し、直衣にはそれがない。

○笏(しゃく/こつ) ・・・ 束帯のとき威儀を正すために用いた長さ1尺2寸(約40cm)の板状のもの。礼服着用のときには象牙製、束帯や袍袴(ほうこ)のときには櫟(いちい)製を用いた。

貴族階級の服装に用いられる威儀具。「笏」の漢音「こつ」が「骨」に通(かよ)うのを忌(い)んで、笏の長さ一尺の「尺」を用いて「しゃく」と発音した。もと、儀式の際に備忘のため式次第を書いた紙を笏の裏に貼り、右手に持ったもので、手板(しゅはん)とも称した。

○公卿(くぎょう) ・・・ 公と卿の総称。公は太政大臣、左大臣、右大臣をいい、卿は大・中納言、参議および三位以上の貴族をいい、あわせて公卿という。

○殿上人(てんじょうびと) ・・・ 天皇の常御殿の清涼(せいりょう)殿に昇殿を許された人。

 

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