火早/火早い
【読み】ひばやい
【意味】火事になりやすい。
【文例】「江戸は火早いと云ひやんすが」<三遊亭円朝『塩原多助一代記』>
【読み】あにき/あにい/あに/せなあ/あにや/にい
〈類語〉兄貴(あにき)
【意味】
1.兄を敬って、または、親しんでいう語。
2.若者・職人・やくざなどの間で、勢力があり、頭株(かしらかぶ)に推される者。
3.年上の男。
〔補説〕「あにぎみ」の音変化か。「貴」は当て字。
〈類語〉兄い(あにい)
【意味】
1.あに。
2.勇み肌の若者。また、その若者を呼ぶ語。「いなせな兄い」
〈類語〉兄(あに)
【意味】
1.きょうだいのうち、年上の男。⇔弟。
2.(「義兄」とも書く)妻や夫の兄。また、姉の夫。義兄(ぎけい) 。
3.(「あにさん」などの形で)年配者が若い男を親しんでいう語。
〈類語〉兄なあ(せ‐なあ)
【意味】
(「せ(兄)な」の音変化)<参考下段>
1.田舎の若い男性。
「村の佳人才子たる女 (あま) っ子せなあが屈竟の出合場処として」<魯庵・社会百面相>
2.兄。また、長兄。
「小梅のせなが柴の戸をたづねて」<人・梅児誉美・三>
「兄さんとしやれてせなあに逢ひに出る」<誹風柳多留9>
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【隠語としての「兄哥」(あにき)の意味】
比較的高級なる官吏、又は刑事、巡査等を云ふ。
【参考】
夫な/兄な/背な(せ-な)
(「な」は接尾語)女性が、夫・恋人または兄弟など親しい男性をいう語。
「ま遠くの野にも逢はなむ心なく里のみ中に逢へるせなかも」<万葉集 三四六三>
【読み】ちょきぶね
【意味】茶船の一種で、船首を鋭くした水切りのよい軽快な小船。
普通船頭1人で漕ぎ、江戸では吉原通いの山谷船として有名であるが、
その軽便な点を利して小荷運送や磯漁にも使われた。
語源は、船首を猪の牙のように長く突き出しているからの説がある。
関西では「ちょろ」「ちょろ船」という。
1.猪牙船や荷足船(にたりぶね)に代表されるような小人数の客
や小荷物を運送する小船。
2.港湾や河川で停泊中または航行の船に飲食物を売る小船。にうりぶね。うろうろぶね。
3.投網、ざこ、貝類とりなどの磯漁に使う小船。
4.利根川筋では、薪炭、木材、米穀などを運送した中型の荷船のことで、同じ川筋の
高瀬船や平田船よりも小型なのが特徴。
5.港湾にあって沖がかりしている廻船と陸岸との間を往復して荷物を運送する船で、
瀬取船、上荷船と同様のもの。
瀬戸内海を中心に、西は北九州から東は紀伊半島・東海道・東京湾の各地で使われていた
小型の和船。長さ7m、肩幅 1.2m程度のもので、船首が箱造になった、2挺櫓の軽快な
船であったというところが多い。
江戸では町奉行所の巡邏(じゅんら)船としても利用され、瀬戸内海の木江(きのえ)港
では女が停泊中の船に乗り込むのにも使っていた。
「ちょろ」とは形の小さいことを意味することばであるという。
【読み】からうす/とううす
【意味】江戸時代の脱穀具。搗き臼の一種。
臼は地面に固定し、杵をシーソーのような機構の一方につけ、足で片側を踏んで放せば、杵が落下して臼の中の穀物を搗く。米や麦、豆など穀物の脱穀に使用した。踏み臼ともいう。〔wikipedia〕
すり臼系統の唐臼は、上臼に取り付けた遣木 (やりき) を数人で回し、籾 (もみ) がらをのぞいて玄米にする。
寛永初年(16世紀前半)にチャイナからもたらされ、従来の木の臼より能率がよく、享保(1716〜36)頃から普及。
つき臼系統の唐臼もあり、これは臼の部分を地面にすえ、杵にあたる部分を足で踏み、脱穀する。
〔出典:旺文社日本史事典〕
てこの原理を応用した足踏み式の臼。臼と杵を取付けた棹木(さおぎ)から成り、支点をはさんで棹木の一方の端を踏んで用いる。
日本では平安時代の文献にすでに現れているが、一般に普及したのは江戸時代になってからで、初め米屋などで米の精白に用いられていたものがのちに農家にも広まり、籾ずりなどにも用いられた。
〔出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典〕
とは『春色梅児誉美』の主人公。複数の女性に愛され、色男の代名詞となった。
『春色梅児誉美』(しゅんしょくうめごよみ)は、江戸時代の人情本。
為永春水・作。『春色梅暦』とも表記する。『梅暦』とも略称される。
1832年(天保3年) – 1833年(天保4年)刊行。4編12冊。柳川重信・柳川重山画。
美男子の丹次郎と女たちとの三角関係を描いたもの。人情本の代表作と言われる。
〔概要〕
1829年(文政12年)の火事で焼け出された春水が、単独で再起をかけた作品で、人情本の代表作とされる。
吉原と深川の芸者、女浄瑠璃、女髪結と、当時の注目を集めた女性を配し、恋愛の諸相を巧みな会話文とともに描いて人気を博した。
その人気は、米八と仇吉の錦絵が出版されたり、名古屋の芸者が米八と名前を変えたり、丹次郎が色男の代名詞となったりするほどであった。
この作品で、春水は戯作者としての名を高めた。
内容は、江戸の町を背景に悪巧みによって隠棲生活を強いられている唐琴屋の美青年丹次郎を慕う芸者・米八、仇吉の2人と、許婚のお長との交渉を描いている。
オーストリアとオーストラリアは、世界各国で混同されており、日本でも、両国の大使館の前には、それぞれの案内地図が貼りだしてあるそうだ。
一番の大きな違いは、国土面積。オーストラリアの方が、約100倍広い。
しかし、人口はオーストラリアがオーストリアの約3倍。
オーストラリアはインド洋に接した大陸であるのに対し、オーストリアは西ヨーロッパの中央にある国。
その他の違いは、以下の記述を読んでください。
正式名:オーストリア共和国
ドイツ語表記:Republik Österreich (ドイツ語: レプブリーク・エースターライヒ)
英語表記:Republic of Austria。通称:Austria
漢字表記:墺太利・墺地利(略式では「墺」)
公用語:ドイツ語
通貨:ユーロ
首都:ウィーン(漢字表記:維納)
面積:8万km2(112位)
人口:893万人(2020年現在、96位)
国旗:
特徴:音楽を中心とした文化大国として有名。
18世紀後半にウィーン古典派が興って以降、ウィーンは「音楽の都」と呼ばれる。
オーストリア出身の主な作曲家は、ハイドン、モーツァルト、シューベルト、ブルックナー、ヨハン・シュトラウス2世、マーラー、ベルクなど。
ドイツ出身のベートーヴェン、ブラームスもウィーンで活動した。
有名な地域:首都ウィーン、ザルツブルグ、アルプス山脈、ドナウ川、ウィーンの森
有名な動物:ビーバー、オコジョ
宗教:キリスト教が主で66%がローマ・カトリックに属している。
正式名:オーストラリア連邦
英語表記:Commonwealth of Australia。通称:Australia
漢字表記:濠太剌利・豪太剌利(略式では「豪」または「豪州」)
公用語:英語
通貨:オーストラリア・ドル(A$)
首都:キャンベラ
最大の都市:シドニー(漢字表記:雪特尼)
面積:769万km2(6位)
人口:2,550万人(2020年現在、6位)
国旗:
政治体制:19世紀の間、イギリスの植民であった為、独立したものの、形式上は世襲の英国(女)王を元首に戴く君主国。
よって、2020年現在、
国王は、チャールズ3世。
総督は、デイヴィッド・ハーレイ。
首相は、アンソニー・アルバニージー。
有名な地域:シドニー、ブリスベン、メルボルン、タスマニア島、ウルル(エアーズロック)
有名な動物:コアラ、カンガルー、ポッサムなどの有袋類やカモノハシ、ハリモグラなど
宗教:キリスト教が主で全体の約64%。
日本とチャイナの漢字表記の違い。
★オーストリア
日本の漢字表記:墺太利・墺地利 (略式「墺」)
チャイナの漢字表記:奥地利 (略式「奥」)
★オーストラリア
日本の漢字表記:濠太剌利・豪太剌利(略式「豪」または「豪州」)
チャイナの漢字表記:澳大利亚 (略式「墺州」)
漢字の上や右横に、その漢字の読みがなを添える振り假名(フリガナ)ことを、「ルビを振る」と言います。
例えば、
「あのチームは強者揃いだ」
「『音楽の都』維納は、墺太利の首都だ」
などですね。
さて、この「ルビ」の語源は、何でしょうか。
十九世紀の後半、イギリスでは、活字の大きさ(pt/ポイント)の中に宝石で呼ぶものがありました。
4.5ポイント = ダイヤモンド
5.0ポイント = パール
5.5ポイント = ルビー
6.5ポイント = エメラルド
このうちの5.5ポイントが、日本の新聞社で使われていたフリガナの大きさ(7号活字、5.25pt)に近かったので、「ルビ」と呼ぶ様になったとのことです。
よく将棋や囲碁の七番勝負で「2勝2敗のタイ」とか、
ゴルフトーナメントで「マイナス3アンダー、2位タイ」とか、
野球で「打率.330、同率1位」とか言いますが、
その「タイ」とは漢字でどう書くか?
「タイ」は英語の「tie」なので、漢字にはありません。
「タイ(tie)」は、名詞のネクタイを示す意味と今回の場合のように、
一般動詞で、「同記録になる、同点になる、引き分ける」などの意味がある。
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タイ〔tie〕
【読み】たい
【意味】
1.ネクタイ。「アスコットタイ」
2.競技・試合などで、得点や記録が相手または他の競技者と同じであること。
また、タイ記録のこと。「スコアをタイに持ちこむ」 「一試合で自己最多タイの得点を挙げる」
3.楽譜で、同じ高さの二つの音符を結ぶ弧線。両音符は間に切れ目のない1音として演奏される。
[補説] 2は、一般の順位づけや、結果としての数値についても用いられる。
「興行収入1位タイの映画」「過去最多タイの入園者数」
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タイブレーク〔tie-break〕
【読み】たい-ぶれいく
【意味】
タイブレークの「タイ」は、英語の〔tie:同点〕の状態をブレーク〔break:破る〕という意味。
最近ではプロ野球で、試合の決着がつかない時に、2塁走者を置いて攻撃を行う方法がある。
テニスではゲームカウントが6対6になった場合に行う方法がある。
『輝ける闇』は開高健が、ベトナム戦争中、ルポライターとして米軍に従軍した体験談を小説化したものである。
この中に出て来る七言絶句の漢詩がある。
日本新聞の山田氏が、主人公に餞別にと言って贈った自作の詩である。
山田氏は、北京官話と広東語の達人で、五年間香港に支局長として住み、論説委員に昇格して東京へ引き揚げた人物である。
書中では、読み下し文や現代口語訳が付されいないので、今回、私が意訳を試みた。
【原文】
臨風懐北無雁信
江水東流是那辺
惟見洋場梧桐老
何顔可待重逢筵
【拙訳】
北風を顔に受けて(北の戦場へ向った)君を懐うが、便り無く。
長江の水の如く、今頃、君はどのあたりを漂って居るのだろうか。
洋場(外国人居留地)の神様の止まり木(行きつけの酒場)も枯れ落ちて(古びて)ゆく。
(僕と君は生きて再会できるのだろうか)僕はどんな顔をして、待っているのだろうか。
また君と酌み交わす日を。
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【眉雪の所感】
最後の一句は、複雑な心境を語っていると思う。
元気で再会できるなら、待つ間は、指折り数えながら楽しいだろう。
ところが、落命しているかも知れないと心配しながら待つのは辛い。
こんな心境を発展していくと・・・
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『輝ける闇』 著者:開高健 発行所:新潮社 昭和43年(1968年)4月30日発行
七言絶句の漢詩は、単行本の84ページ目に記載あり。
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【語彙説明】
○臨風 ・・・ 風に向って。風に臨む。秋風に吹かれつつ〔参考:「臨風懐謝公」李白〕
○懐北 ・・・ 北を懐う。北を偲ぶ。
臨風懐北=「風に臨んで北を懐わんとは」
○雁信 ・・・ 手紙
○江水東流 ・・・ 「長江の水がとうとうと東に向って流れ」〔参考:「襄陽歌」李白〕
○那辺 ・・・ どのあたり。どのへん。
是那辺=「是を那辺と」
○惟見 ・・・ 「惟を見る」「惟だ見る」〔参考:「黄鶴楼にて~」作・李白〕
○洋場 ・・・ 西洋化した場所。
註:李香蘭のヒット曲に『十里洋場』がある。「十里洋場」は外灘(上海の観光エリア)にあった上海租界の別名。要するに外国人居留地。
○梧桐 ・・・ 梧桐。あおぎり科の落葉高木。古代「神様(鳳凰)の止まり木」とされた。
○何顔 ・・・ 原文「愧我何顔看父老」読み下し「愧づ我何の顔あってか父老に看ん」
〔参考:『史記』の項羽の故事を踏まえている。『凱旋』作・乃木希典〕
○可待 ・・・ 「待つ可けんや」
○重逢筵 ・・・ 「重ねて筵に逢う」意味「また宴席で逢おう」
○重逢 ・・・ 原文「登山絶頂重逢嶺」読み下し「登山絶頂重ねて嶺に逢う」〔『途中怨』作・徐氏女〕
原文「知己重逢老蠹魚」読み下し「知己重ねて逢う老蠹魚」〔作・森春涛〕
老蠹魚(ろうとぎょ/しみ)・・・本ばかり読んでいる人。読んでも理解できない人を嘲笑して言う。
○筵 ・・・ 宴席。
原文「逮従幽荘尚歯筵」読み下し「幽荘の尚歯の筵に従ふに逮びて」〔作・菅原道真〕
尚歯筵・・・老人を尊敬し、その高齢を祝うために、招いて催す宴。