奕世(えきせい)

奕世

【読み】えき‐せい

【意味】《「奕」は重ねるの意》だいだい。累代。奕葉。

<参照:大漢和辞典 大修館書房>

累代

【読み】るい‐だい
【意味】《古くは「るいたい」とも》代を重ねること。代々。累世。
【例文】「累代の家宝」「累代の墓」

奕葉

【読み】えき‐よう
【意味】《「奕」は重ねる、「葉」は世の意》
世を重ねること。世々。代々。累世。

『漢検 漢字辞典』『大漢和辞典』表記の「奕世」PDF

 

北叟笑む(ほくそえむ)

北叟笑む

【読み】ほくそ‐えむ

【意味】物事が思い通りにうまくいったとき、満足してひそかに笑う。

にやにやする。ほくそわらう。

【故事】「人間万事塞翁にんげんばんじさいおうが馬」の主人公である北叟が、喜憂に対して微笑した。

「北叟(ほくそう)」とは「北方の老人」の意味で、「塞翁」のこと。
「禍福いずれの場合も達観したように落ち着き払い、かつ喜ぶときにも憂うときにも少し笑みをたたえた」と伝えられた。

<人間万事塞翁が馬」の故事>(『淮南子えなんじ』人間訓より)

昔、中国北方の塞(とりで)近くに住む占いの巧みな老人(塞翁)の馬が、
胡の地方に逃げ、人々が気の毒がると、老人は「そのうちに福が来る」と言った。
やがて、その馬は胡の駿馬を連れて戻ってきた。
人々が祝うと、今度は「これは不幸の元になるだろう」と言った。
すると胡の馬に乗った老人の息子は、落馬して足の骨を折ってしまった。
人々がそれを見舞うと、老人は「これが幸福の基になるだろう」と言った。
一年後、胡軍が攻め込んできて戦争となり若者たちはほとんどが戦死した。
しかし、足を折った老人の息子は、兵役を免れたため、戦死しなくて済んだという故事に基づく。
単に「塞翁が馬」ともいう。
人間は「じんかん」とも読み、「人類」ではなく「世間」を意味する。

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甍宇(ぼうう)

甍宇

【読み】ぼう‐う
【意味】棟宇(とうう)をいう。家屋。
<参照:大漢和辞典 大修館書房>

棟宇
【読み】とう‐う
【意味】 (「宇」は軒(のき)の意) 家屋のむねと軒(のき)。屋根。

甍(いらか)と瓦(かわら)の違い。
甍とは「瓦の屋根」を意味する。
瓦とは粘土を窯で焼いて作った「屋根を葺く材料」を意味する。

 

『大漢和辞典』表記の「甍」PDF

盧州 池田四郎次郎

池田蘆洲

〔いけだ ろしゅう、元治元年(1864)6月19日~昭和8年(1933)70歳没〕

漢学者。名はいんあざな公承こうしょう、通称は四郎次郎、蘆洲ろしゅうと号した。

大阪の人。東京に出て、三島中洲ちゅうしゅうの門に入り、陽明学を主とし、二松学舎専門学校、国学院大学の教授となる。

編著には、未完に終わった『史記補注』130巻のほか、『日本詩話叢書』10冊、『日本芸林叢書』10冊が刊行されている。

とくに『故事熟語大辞典』(1909初版)は、その後改定を加えて畢生ひっせいなりわいとなったが、
典拠を明示した類書の濫觴らんしょうとして、高く評価されている。

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)

狂瀾を既倒に廻らす(きょうらんをきとうにめぐらす)

狂瀾を既倒に廻らす/狂瀾を既倒に廻す

読み:きょうらん を きとう に めぐらす/きょうらん を きとう に かいす

意味:「狂瀾」は荒れ狂う大波、「既倒」は既に倒れたという意。崩れかけた大波を、向こうへ押し返すということ。

真意:不利になった形勢を、再び元の状態へ戻すことのたとえ。

出典:韓愈『進学解』に「正統から遠ざかっていく学問を元の正しい姿に戻すのは、狂瀾を既倒に廻らすようなもので、とても苦労の多いことだ。」の一節がある。

参照:『故事成語を知る辞典』より

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意味:狂える如き大波が、頽(くず)れかかって来るを支えて、他の方面へ遣ることにて、邪道を正道に引き返すこと。

原文:尋墜緒之茫茫、獨旁捜而遠紹、障百川而東之、廻狂瀾於旣倒

出典:韓愈『進学解』

参照:『故事熟語大辞典』池田四郎次郎著より

 

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多くの辞書は、「狂瀾を既倒に返す」とも云うと説明されているが、これは間違い。

「廻らす(めぐらす)」の部分を、漢文調に「廻す(かいす)」と音読みして、これを「かえす」と聞き間違ったところから、「返す」と誤ったもの。

「めぐらす」または「かいす」が正しい。