鞘当て(さやあて)とは

鞘当て

【読み】さや‐あて

【意味】
1.武士が道で行き違うときに、互いに刀の鞘に触れたのをとがめ、争うこと。「さやとがめ(鞘咎め)」ともいう。転じて、ささいなことからおこるけんか・争い。

鞘当て

2.一人の女性をめぐり二人の男性が争うこと。

〔文例〕「ドラマの大筋は恋の鞘当てだ」

3.歌舞伎の趣向の一つで、二人の武士が鞘を当てたことから争いになるというもの。

元禄10年(1697)江戸中村座上演の「参会名護屋さんかいなごや」が最初で、現在の形は文政6年(1823)江戸市村座上演の「浮世柄比翼稲妻うきよづかひよくのいなづま」の吉原仲の町の場による。

浮世柄比翼稲妻

浮世柄比翼稲妻「鞘当の場」の台詞を縦書きで読む

茅屋(ぼうおく)とは

茅屋

【読み】ぼう‐おく

【意味】
1.草ぶきの屋根の家。
2.みすぼらしい家。あばらや。また、自分の家をへりくだっていう語。

茅屋/萱屋

【読み】かや‐や

【意味】茅葺かやぶきの屋根や家。

茅屋、茅舎

【類義語】

茅舎(ぼうしゃ)・・・茅葺き屋根の家。茅屋とほぼ同じ意味。
掘立小屋(ほったてごや)・・・柱を地面に直接立てて作った粗末な小屋のこと。
廬(いおり)・・・質素な家、小屋のこと。
バラック・・・仮設の建物や粗末な建物を指す。
ぼろ屋(ぼろや)・・・設備が古く、粗末な家を指す。
あばら家(あばらや)・・・破損がひどく、見すぼらしい家を指す。
陋屋(ろうおく)・・・狭く、粗末な家を意味する。
陋居(ろうきょ)・・・狭く、粗末な住居を指す。

外套(がいとう)とは

外套

【読み】がいとう

【意味】防寒・防水などのために服の上から着るゆったりした外衣で、一般的に「コート」や「オーバー」と呼ばれる。

現代では「コート」という言葉が定着しているが、昔は「外套」という呼び方で定着していた。

男性用コート

〇バルマカーンコート(Balmacaan Coat)/ステンカラーコート
スコットランドの地名に由来する、「後方が高く、前方に向かって低い状態で折り返す襟」が特徴。日本では「ステンカラーコート」(和製英語)と呼ばれる。
シンプルで着回しのきくクラシックなアウターとして知られている。
ラグランスリーブ(肩の縫い目がない袖)を持つものが一般的です。

〇チェスターフィールドコート (Chesterfield Coat)
丈はやや長めが基本であり、膝程度が一般的で、見た目はフロックコートや背広に近い。19世紀に英国の「チェスターフィールド伯爵」が初めて着用したことに由来する。

〇ブッシュコート(Bush Coat)
二つの意味がある。一つは、カナダの森林労働者が着ていた厚手のウール地のコート。もう一つは、サファリジャケット(ブッシュジャケット)の異称。
ブッシュコートは、もともとアフリカの草原地帯での狩猟(サファリ)のために考案された衣服。そのため、機能性や丈夫さを重視したデザインが特徴で、1960年代以降、タウンウエアとしても普及した。

〇マッキントッシュ(Mackintosh Coat)
1823年創業の英国を代表するアウターウェアブランドで、「ゴム引きコート」が特徴。「ゴム引きコート」は、生地の間に天然ゴムを塗り圧着した防水布を使用したもので、ロンドンの雨天対策のために開発された。
現在では、この伝統製法を守りつつ、トレンチコートやダッフルコートなど様々なアイテムを展開している。

〇インバネスコート(Inverness Coat)
スコットランドのインバネス地方に由来する、長い丈のコートに肩を覆うケープが付いた外套。
丈の長いコートに、ケープを合わせたデザイン。コート部分に袖のあるものと無いものがある。日本では明治時代に伝わり、和服の大きな袖を邪魔しない実用性の高さから、和服用として「とんび」や「二重回し」などと呼ばれて流行した。

〇リーファーコート(Reefer Coat)
元々は帆船上の帆を巻き上げる水夫(reefer)が着用した、厚手のウール素材で作られた防寒用のショートコートを指す。
現在は、ピーコート(Pコート)に似た、ダブルブレスト(両前)仕立ての防寒コートを指す言葉として使われることもあり、
特に丈が長めでエレガントな雰囲気を持ち、洗練された印象を与えるコートを指すことが多い。

〇トレンチコート(Trench Coat)
「トレンチ」とは「塹壕(ざんごう)」を意味し、第一次世界大戦中にイギリス軍が塹壕で着用していた防水性の高い軍用コートに由来する。
デザインの特徴として、ダブルブレストの前開き、エポレット(肩章)、ガンフラップ(雨除けの当て布)、ウエストを絞るベルトなどがある。
現在では、機能性とファッション性を兼ね備えた定番のファッションアイテムとして、男女問わず広く親しまれている。
素材は、綿のギャバジン(綾織り生地)が伝統的。

〇アルスターコート(Ulster Coat)
アルスターコートとは、北アイルランドのアルスター地方に由来する、厚手の生地で作られたロング丈のオーバーコートです。
大きな襟(アルスターカラー)やダブルブレスト、バックベルトなどが特徴で、トレンチコートの原型とも言われています。

捺印(なついん)押捺(おうなつ)押印(おういん)

捺印

【読み】なつ-いん
【意味】

押印おういん」と「捺印なついん」と「押捺おうなつ」は、いずれも判子はんこを押すことだが意味が異なる。
「捺印」は、当用漢字の制定により、「捺」が当用漢字外となった為、「押印」に代用された。よって、「捺印」が由緒ある正統な熟語である(笑)。

ちなみに、漢字の「判子」は当て字。「判子」の正式名称は「印章」ですが、ここでは「判子」で説明します。

「捺印」は、判子を押すことのほか、押した印影についてもいう。
「押捺」は、判子を押すことのほか、指紋しもんを押すこともいう。
一般的に指紋を押すことは少ない為、押捺はほとんど使われない。

ここで言う判子は、苗字だけの同一規格大量生産(例「シャチハタ」)のようなものではなく、木彫りなどで、印影が異なるものを指す。

後者(木彫りなどで印影が異なる)の判子を役所で登録すると実印となる。
実印は、苗字だけでなく名前も彫られた判子を用いることが一般的である。
通常「印鑑」は実印のことである。

署名捺印しょめいなついん」と「記名押印きめいおういん」という組み合わせで用いられる。
一般的、署名(本人が自筆じひつで氏名を書いたもの)に印を押す際は「捺印」と使われる。
本人の自筆ではなく、記名(代筆やゴム印などで氏名を記したもの)に印を押す際は「押印」と使われることが多い。

ちなみに、署名の方が記名より証拠能力が上で、実印を押す場合は、印鑑証明書を添付するのが常識である。

【印鑑の雑学】

〇「印鑑」と「判子」は、一般的には混同して使われるが、次の違いがある。
1.印鑑(いんかん)・・・役所や銀行の台帳に残る朱肉の跡(印影)を指す。具体的には、実印や銀行印のこと。実印の寸法は自治体によって規定されている。一辺が8~25mmの正方形に印影が収まる印鑑とされることが多い。
2.判子(はんこ)(正式名称は「印章」)・・・手に持って押す道具そのものをを指す。実印や銀行印から日常で使う認印もすべて「判子」。前述の通り「判子」と書くのは当て字。

〇実印とは、自治体(市区町村役場)で印鑑登録をした印鑑のことで、個人の場合は苗字だけでなく姓名で作成することが一般的。
法人の場合は、「〇〇株式会社代表取締役之印」などとと記し、重要契約などに使用される代表取締役などの印鑑です。
強い法的効力を持ち、印鑑証明書とセットで求められることが多く、不動産の売買や相続など、重要な契約書に欠かせないものです。

〇銀行印は、取引銀行に登録した判子で、一般的に実印と分けて使う。

〇認印は、苗字だけではあるが、一つ一つ微妙に印影が異なるので、実印に劣るが同一規格大量生産(例「シャチハタ」)などの大量生産されたシャチハタなどに比べて証拠能力がある。

〇実印や銀行印は偽造・悪用のリスクを減らすために複雑な書体が選ばれる。一方で、認印は判読し易いように読みやすい書体が選ばれる。

〇判子は、「はん」「いん」「」と呼ばれることもあります。
」は飛鳥時代(701年)に制定された大宝律令で、官印(官庁が職務で使う判子)の一つとして天皇御璽てんのうぎょじが作られたことが始まりです。
現在では天皇のお使いになられる判子だけが「御璽ぎょじ」と呼ばれ、国の判子は「国璽こくじ」と呼ばれる。
「御璽」は天皇の国事行為にともなって作られる文書に押され、「国璽」は外交文書など国家の重要文書に押される。

【語源】

〇印鑑の語源は、 「印鑑」という言葉は、判子が本物か偽物かを判断するために、印影いんえいの照合に使っていた台帳を「かがみ」と呼んでいたことに由来します。
台帳(鑑)には、本物の判子で押した印影が載っており、印影を見比べる道具として使用されていました。そして、いつしか台帳は「印鑑」と呼ばれるようになり、本物の判子で押された印影のことも「印鑑」と呼ぶようになったとされています。
印鑑を照合して判子の真偽を確かめる方法は、今でも銀行などで使われている仕組みです。

〇判子の語源は諸説あります。(前述の通り漢字で「判子」と書くのは当て字)

1.江戸時代によく作られた版画に使う板のことを「版行・板行(はんこう)」と呼び、それが転じて「ハンコ」と呼ばれるようになった。
2.版行(はんこう)を使って書物を印刷することと、印章で捺印することが混同されたので、印章のことも「ハンコ」と呼ぶようになった。
3.「判を押すことを行う」ということばの「判行」が転じて「ハンコ」と呼ばれるようになった。

このように諸説ありますが、真相は不明です。

荻(おぎ)とは

【読み】おぎ

【意味】

イネ科ススキ属の植物の一種である。

草丈は1~2.5m程で、河川敷などの湿地に群落を作る身近な多年草である。

荻02

荻01

伽羅(きゃら)とは

伽羅

【読み】きゃら

【意味】

香木の「沈香じんこう」の中で最も品質が高く、特別な香りを放つ最上級のものを「伽羅」と呼びます。

ベトナムの一部の地域でのみ産出される非常に貴重な香木で、その芳醇ほうじゅんで深みのある香りは古来より日本やチャイナで珍重されており、高価な価格で取引されている。

伽羅の木片

〔伽羅の特徴〕

最高級の香木:沈香の中でも、樹脂の含有量が多く、複雑で重厚な香りを放つものが伽羅と呼ばれる。

産地と資源の希少性:ベトナムなどの一部地域にのみ生育する沈香樹という特定の木から採取されます。資源が限られており、現在では入手困難となっている。

深い香りの種類:甘味、辛味、苦味、酸味、鹹味かんみといった複雑な香りの要素を持ち、香木の中でも特に幽玄で馥郁とした香りが特徴です。

歴史と文化:日本書紀にも名が記される古の時代から貴ばれ、足利義政や織田信長のような歴史上の人物も好んで使用したと伝えられている。

用途:主に香道や線香、お香の原材料として利用されます。

価格:希少性が高いため、非常に高価な香木として知られている。

語源:サンスクリット語の「倶利迦羅くりから」に由来する。

伽羅の線香

兜巾(ときん)とは

兜巾

【読み】ときん

【意味】
主に修験道しゅげんどう山伏やまぶしが着用する黒い布製の小さな頭巾で、顎の下の紐で結びます。
頭頂部には十二のひだがあり、これは仏教の「十二因縁」を表すほか、山の悪気を防ぐ意味があるとされている。

兜巾(ときん)

徽章(きしょう)とは

徽章

【読み】きしょう

【意味】

本来「旗印」を意味する言葉で、現在では、学校、会社、役職、資格などを象徴する、帽子や衣服に付けられるバッジやメダルのようなしるしを指します。身分、所属、功績、技能などを示す役割があり、校章、社章、胸章、襟章、腕章など、身につける場所や用途によって様々な種類があります。

「徽」という漢字は、常用漢字に入っていないことから「記章」と記された。ししかし、「徽章」と「記章」は、意味が異なります。
「記章」は、本来、記念に与えられるしるしのことを指します。

従って、我々がイメージしている「記章」は「徽章」と書くのが正しい。

【徽章の種類】
〔用途によるもの〕
校章・園章:学校や園の歴史や特徴、目指す姿を象徴。
社章:会社や組織のロゴマークやエンブレムを模したもの。
リボン徽章(コサージュ):式典などで来賓や参加者が胸元につける花飾りタイプ。
〔身につける部位によるもの〕
胸章(きょうしょう):胸元につけるバッジやメダル。
襟章(えりしょう):襟元につけるもの。
腕章(うでしょう):腕につけるもの。

徽章の種類

亀卜(きぼく)とは

亀卜

【読み】きぼく/かめのうら

【意味】

中国古代、いんの時代に行われた占い。
亀の腹甲ふっこうや獣の骨を火にあぶり、その裂け目(いわゆる亀裂)によって、軍事、祭祀さいし、狩猟といった国家の大事を占った。
その占いのことばを亀甲獣骨に刻んだものが卜辞ぼくじ、すなわち甲骨文字こうこつもじであり、卜という文字もその裂け目の象形である。
亀卜は数ある占いのなかでも最も神聖で権威があったが、次の周代になると、ぜい(易占えきせん)に取って代わられ、次第に衰えていった。
亀卜の風習は日本にも伝えられ、神奈川県三浦市の間口洞穴からはすでに五世紀のものと推定される遺物が出土している。〔引用事典:世界大百科事典〕

令制によるうらないの一種。「かめのうら」とも読む。
日本固有の卜占ぼくせんは、太占ふとまにと呼ばれ、鹿の肩骨を焼いて占ったが、
中国から亀甲による卜法ぼくほうが輸入されると、朝廷ではこれを採用した。
亀卜は神祇官じんぎかんつかさどり、20人の卜部うらべが担当。
亀甲きっこうは、紀伊、阿波、土佐、志摩の各国の産物によった。
卜法は、亀の甲にあらかじめ一定の線を描き、焼き現れる縦横のもんによって吉凶きっきょうを占い、これにより、まつるべき神、祭の日時、場所などを決めた。
対馬、壱岐、伊豆には、この卜法を世襲する卜部がいた。
亀卜は陰陽寮おんみょうりょうで行う式占しきせんと併用され、官寮がそのはんことにするときは、特に官卜かんぼくに従う例であった。〔引用事典:ブリタニカ国際大百科事典〕

亀卜01

対馬の亀卜の習俗