猪牙舟
【読み】ちょきぶね
【意味】茶船の一種で、船首を鋭くした水切りのよい軽快な小船。
普通船頭1人で漕ぎ、江戸では吉原通いの山谷船として有名であるが、
その軽便な点を利して小荷運送や磯漁にも使われた。
語源は、船首を猪の牙のように長く突き出しているからの説がある。
関西では「ちょろ」「ちょろ船」という。
茶船(ちゃぶね)
1.猪牙船や荷足船(にたりぶね)に代表されるような小人数の客
や小荷物を運送する小船。
2.港湾や河川で停泊中または航行の船に飲食物を売る小船。にうりぶね。うろうろぶね。
3.投網、ざこ、貝類とりなどの磯漁に使う小船。
4.利根川筋では、薪炭、木材、米穀などを運送した中型の荷船のことで、同じ川筋の
高瀬船や平田船よりも小型なのが特徴。
5.港湾にあって沖がかりしている廻船と陸岸との間を往復して荷物を運送する船で、
瀬取船、上荷船と同様のもの。
ちょろ船(ちょろぶね)
瀬戸内海を中心に、西は北九州から東は紀伊半島・東海道・東京湾の各地で使われていた
小型の和船。長さ7m、肩幅 1.2m程度のもので、船首が箱造になった、2挺櫓の軽快な
船であったというところが多い。
江戸では町奉行所の巡邏(じゅんら)船としても利用され、瀬戸内海の木江(きのえ)港
では女が停泊中の船に乗り込むのにも使っていた。
「ちょろ」とは形の小さいことを意味することばであるという。