學道成ること無く鬢已に華

【原文】學道無成鬢已華。

【読み下し文】學道がくどう成ること無く鬢已びんすで

【詩意】道を學んで成就じょうじゅせざるうちびんすで華白かはくとなる。

【出典】蘇東坡そとうばの詩「三朶花さんだか

全文のPDFは、こちら「三朶花」蘇東坡

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【眉雪の閑話ひまばなし

「鬢已華」の語句が『下谷叢話』にあった。

調べてみると蘇東坡の「三朶花」の冒頭の句であった。

〔出典〕『下谷叢話』 永井荷風・著 岩波文庫 2000年9月14日発行 251頁 14行目

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【略歴】

蘇 軾(そ-しょく)/蘇 東坡(そ-とうば)

生年:1036年1月8日
没年:1101年8月24日、65歳没

チャイナ北宋の政治家、文豪、書家、画家。政治家としての活躍の他、宋代随一の文豪として多分野で業績を残した。文学以外では、書家、画家として優れ、音楽にも通じた。

号は東坡居士(とうばこじ)、字は子瞻(しせん)、諡は文忠公。
号から、蘇東坡(そとうば)とも呼ばれ、坡公や坡仙などの名で敬慕された。

方大鎮(ほうだいちん)とは

方 大鎭/方 大鎮

【読み】ほう – だいちん

明の時代。桐城の人。

字:君靜(くんせい)。號:野同翁。

萬暦の進士。官は大理寺少卿。

著書:『荷薪義』『田居乙記』

〔萬斯同明史、三百六十一〕・〔蘭臺法鑒綠、二十〕・〔明人小傳、三〕・〔明詩綜、五十五〕・〔四庫提要、九十六・一百三十二〕。

 

『大漢和辞典』表記の「方大鎭/君靜」PDF

氵+叙の漢字「溆」

溆 ←JPEG画像です。

部首:さんずい
総画数:12画(水3+9)

音読み:ショ
意味 :
1.水辺。水際。浦。
2.中国の湖南省を流れる川の名。

UCD:U+6E86

大漢和辞典に掲載なし。

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【参照】中日辞典

さんずい+叙の漢字

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【異体字】大漢和辞典に掲載あり

漵 ←JPEG画像です。

総画数:14(水3+11)

UCD:U+6F35

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【異体字】大漢和辞典に掲載なし。

潊 ←JPEG画像です。

総画数:14(水3+11)

UCD:U+6F4A

江湖載酒とは

『下谷叢話』に「江湖載酒甘薄倖」の一文がある。

解説者の読み下し文では、「江湖こうこ酒ヲセテ薄倖はっこうあまンジ」としている。

「江湖」とはチャイナの揚子江ようすこう洞庭湖どうていこだろうと想像する。

しかし、『下谷叢話』の背景は、日本の関東周辺だ。

関西なら琵琶湖と淀川に模したものか、とも思うのだが、疑問である。

さて、この一文は、どう理解したら善いのか?

 

これは、杜牧とぼく七言絶句しちごんぜっく遣懐いかい」(おもいをる)の一句が元にある。

【原文】落魄江南載酒行

【読み下し文】江南こうなん落魄らくたくし 酒をせて行く

【現代口語文】水辺のさと江南で、自由奔放ほんぽうに遊んだ若き日々、どこに行くにも酒びたりであった。

【語彙説明】

〇落魄・・・「ラクタク」と読み、自由気まま、放縦不羈ほうしょうふきを表わす。通常の「ラクハク――落ちぶれて漂泊ひょうはくする」意味ではない。
『才調集』は「落托」、晩唐の孟棨『本事詩』高逸篇は「落拓」としている。

〇江・・・揚州・宣州・洪州などの地を指す。
晩唐の高彦休『唐闕史』(『太平広記』所引)・『本事詩』・『唐音統籤』などは、「江」としている。

【参照】『杜牧詩選』 岩波文庫 2004年12月15日第2刷

PDFで「遣懐」全文と解説は、こちら

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「江湖載酒甘薄倖」

解説者の読み下し文「江湖こうこ酒ヲセテ薄倖はっこうあまンジ」。

【出典】『下谷叢話』 永井荷風・著 岩波文庫 2000年9月14日発行 135頁 1行目と13行目

駿發/駿発(しゅんぱつ)

駿發/駿発

【読み】しゅん – ぱつ

【意味】

1.はやたがやす。駿發爾私を見よ。

2.明徳めいとくはやはっする。

〔王融、三月三日曲水詩序〕駿發開其遠祥、定爾固其洪業。

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駿發爾私

【読み】とく なんじの しを はっせよ

【意味】

はやたみ私田しでんたがやせとさとした語。駿は、一説に大いにの意とする。

〔詩、周頌、噫嘻〕駿發爾私、終三十里、亦服爾耕、十千維耦。

〔傳〕私、民田也、言、上欲富其民、而譲於下、欲民之大發其私田耳。

〔箋〕駿。疾也、發、伐也、云云、使民疾耕發其私田。

 

PDFで見る「駿發/駿発」

大沢順軒(おおさわじゅんけん)

大沢順軒/大澤順軒

〔読み〕おおさわ – じゅんけん

漢学者

〔生没〕生没年未詳。天保(1830~1844)頃の人。

〔名号〕名:定永。字:子世。通称:秀之助。号:順軒。

〔経歴〕江戸根岸庚申塚に住す。

〔著作〕『台桜雑詠』〈天保十一刊〉

〔参考〕広益諸家人名録(天保十三)

【参照】『国書人名辞典』岩波書店

「泊秦淮」作・杜牧

題:泊秦淮  作:杜牧

煙籠寒水月籠沙

夜泊秦淮近酒家

商女不知亡國恨

隔江猶唱後庭花

 

題:秦淮に泊す

煙は寒水を籠め 月は沙を籠む

夜 秦淮に泊まりて酒家に近し

商女は知らず 亡国の恨み

江を隔てて猶お唱う 後庭花

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PDFで詳しく。「秦淮に泊す」 作:杜牧

蓮塘(れんとう)とは

蓮塘

【読み】れん – とう

【意味】

一.蓮の生えて居る池。はすいけ。蓮池(れんち)。

〔方干、送鏡空上人遊江南詩〕細雨蓮塘晩、疎蝉橘岸秋。

二.川の名。廣東省陽江縣北界の白馬山に源を發し、漠陽江と合し海に入る。

〔讀史方輿紀要、廣東、肇慶府、陽江縣〕蓮塘河、縣東六十里、源出恩平界白馬山、一名琨水、曲折流經縣東北百里那龍村曰那龍水、過蓮塘驛曰蓮塘河、云云、南流七十里、至縣南十五里尖山渡、合於漠陽江。

三.字號。イ.清、馮文蔚の號。ロ.清、楊振崑の號。ハ.清、汪際會の號。

【参照】『大漢和辞典』大修館書店

『現代暇名遣批判と今後の國語教育』太田行藏

『現代暇名遣批判と今後の國語教育』は、国語教師を目指す方は、是非読んで欲しい一冊だ。

著者は、太田行藏氏。

→ 表紙 目次 本文 補足1 補足2

昭和21年(1946年)に第11回国語審議会の答申により「現代かなづかい」が告示される。

同じくして「当用漢字」の漢字制限及びローマ字教育といった一連の国語改革が行われた。

これらの国語改革と称する変更が、如何に愚かであったか。

多くの国語学者が反対し、論破しているにも拘わらず、時の政府は、施行した。

その背景にあったのは、 新聞社の後押しがあったからだ。

更に、日本人の識字率の高さを知らなかったGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)も口添えした。

2023年、米国のラーム・エマニュエル駐日大使が、「LGBTQなど性的少数者の人権保障を前提に日本も法整備すべきだ」と日本政府に強く抗議し、岸田前首相は、あっという間に進めた。これと一緒。愚行だ。

新聞社は、世界で最も手間のかかる凸版印刷(植字)に頭を悩めていた。

漢字制限をして貰えば、植字作業は一気に半分以下に減る。

これもまた愚行。20年後にコンピュータ化され、植字なんて作業は無くなった。今も昔も、新聞社は・・・。

渡りに船だったのだ。

日本の文化なんて関係ない。