郢客陽春を唱う
【読み】えいかく ようしゅん を となう
【意味】卑俗な音曲に馴れている郢の人の間で高尚な(宋の)陽春の曲を歌うこと。
【背景】楚王が宋玉に問うた。「先生はわが都で評価が高くないが、どうしたことか?」
それに対して宋玉は「低俗な曲に馴れている人々が、陽春白雪のような高尚な曲を聴いても理解できない。
鳳凰が飛ぶ眺めを小鳥は知ることもない。
それと同じで、世俗の人々に、どうして私の様な(高尚な)者を理解できるでしょうか」
と答えた。
<俗な解釈>「私の様な高尚な人間を、貴方の国の低俗な人々に理解できるはずがないでしょう」
と、宋玉は楚王に皮肉を言ったのである。
【真意】高雅な者が卑俗の間に受け容れられない(理解されない)たとえ。
【語彙説明】
楚王(そおう)
宋玉(そうぎょく)・・・戦国末期(紀元前3世紀頃)の楚の文人。屈原の弟子とも後輩ともいわれる。
郢(えい)・・・中国、春秋時代の楚の都。
享楽的な都であったと言われており、「俗・みだら」の意に使われることがある。
例:郢曲(えいきょく)①催馬楽・風俗歌・今様など中世・中古の歌謡・流行歌の総称。
②低俗な音楽。俗曲。
陽春・・・「陽春白雪」の略。昔、中国の楚で最も高尚とされた歌曲。
【原文】郢客唱陽春
【出典】宋玉-対楚王問